受賞コメント
四月様

本フェチ大賞は以前から楽しく拝見しており、日頃から本作りの参考にさせて頂いておりました。これもその一冊で、受賞作品の工夫を凝らした装丁を「これいいなあやりたいなあ」と爛々とした目で見ておりましたので、まさかこの度は大賞を頂き、大変驚いております。
普段は自家製本がほとんどなのですが、今回アンソロジーということで、手作業では難しい特殊加工をたくさん盛り込みました。「手」をテーマにしたアンソロですので、表紙の"手"の部分を空押しし、触って楽しんで頂けるような仕様にしました。シンプルさと澄んだ空気感を大切にしたいため、一見派手な本ではないけれど、視覚だけでなく触覚でも堪能できるような本を目指しました。遊び紙のトレペに印刷した手が、前後ろ共に「テノヒラ」の文字を囲うようになっているのが個人的な小さなこだわりです。
今後作りたい本
印刷所での箔押しをまだやったことがないので、表紙全体に精細に施したり、中身のアクセントとして入れたり、箔押しを主役にした本を作ってみたいです。
審査員コメント

タイトルの通り「手」をテーマにしたアンソロジー。 目をひくのはやはり表紙ではないでしょうか。淡い色合いのイラストの中で、手のふちを空押しすることで、一気にイラストが立体的に。奥の人物や、手の間から覗く瞳がより印象的に感じられます。凹凸があるので実際に触れても楽しむことができ、“視覚触覚両方で楽しめる本”という作家様のねらい通りの仕上がりです。柔らかな色合いの表2-3側にも、空押しは面白い効果を発揮し、読者の方はあっと驚いたのではないでしょうか。
その他にも加工紹介でご紹介したように、本を演出する様々な緻密なアイディアと、それを実現した情熱に感動しました。
静けさと温もりを兼ね備え、細部まで「手」にこだわった見事な一冊です。大賞受賞おめでとうございます!



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