- 第15回本フェチ大賞 特別賞「GODARCAログ本」犀葵様[犀葵の花束]
特別賞
「GODARCAログ本」
犀葵様[犀葵の花束]
仕様
加工:高精細箔押し(金)
Interview
今回のご本が生まれたきっかけは何でしょうか?
クトゥルフ神話TRPGシナリオ『GODARCA』をクリアしてから1年近くが経過した頃、共にオンラインセッションにて『GODARCA』で遊んでくださった方々が、SNS上で「ログ本が欲しい」と発信しているのを見かけたことが切っ掛けです。
同人誌の制作経験は何度かあり、TRPGのオンラインセッションログをまとめた本を作った経験もあったため、実現可能なのではないかと思い、「作らせてください」と『GODARCA』で遊んでくださった方々にお願いしに伺いました。
使用された紙・加工と、特にこだわりを持った部分があれば教えてください。
【装丁のテーマ】
今回遊んだTRPGシナリオ『GODARCA』がタロットカードをテーマにしていること、100年もの歴史の中にあって神話と戦う者たちが主役の物語であることから、「タロットカードのケース」や「魔導書・歴史書」をイメージしてデザインを組むことにいたしました。
それらしい重厚感が見た目にも手触りにも表れるよう、カバーの用紙は「レザック16 くろ」を選択。ぱっと見で豪華な印象を与えられるよう箔押しも追加。箔押しのデザインについては、迫る神話と戦う探索者たちをイメージした絵柄にしつつ、箔で再現可能な線の細かさになるよう、都度担当者さんに相談させていただきながら制作を進めるかたちに。
この本そのものが「タロットカード(の名を関する英雄たち)を納めるもの」となるよう意識して、仕様を考案いたしました。
【表紙について】
カバー下の表紙は、カバーデザインとは逆に「白と銀」のカラーで統一。
これは『GODARCA』の探索者たちが身に纏う制服が「黒と金」「白と銀」の2種類であるためです。細々とした装飾デザインも、制服の意匠をイメージしています。
表紙用紙は「OKムーンカラーホワイトN F-170」で、空押し加工を施して頂きました。この組み合わせは、緑陽社様サイト内に掲載されている『オプションマリアージュ』の紹介ページを見て、とても素敵だと感じ、参考にいたしました。こうした装丁例の紹介ページでイメージを膨らませられることは、とても有難かったです。
『GODARCA』のネタバレにならない範囲の補足説明として、私たちが『GODARCA』で遊んだ際、21人がロスト、1人のみが生還というクリア結果になったため、21人のモチーフは空押し、1人はインクで印刷……という形で差をつけて表現しています。
【本文について】
本文はAdobe InDesignを用いて編集、2段組みで統一。用紙は「クリーム書籍用紙 72.5kg」を選択。レイアウト・用紙共に読みやすさを最重視。挿絵には該当シーンの引用文を添え、洋書風にいたしました。
本編前に設けたキャラクター紹介ページに関しては、丸々もう一人の協力者の方に制作していただきました。データも見やすく、イラストも可愛らしく、有難かったです。
見返し用紙は「ビオトープGA-FS ベリーレッド 90kg」に「ゴールド赤口」で月桂樹のデザインを印刷。神話と戦う者たちの物語を豪華に演出できるよう組み込みました。
見返しへの印刷については『本フェチ大賞』の歴代受賞作品を見ながら、こんな加工もあるのか!と感動したのが切っ掛けですので、かつて自分が見ていた受賞作品一覧に自分が制作させて頂いたものが掲載されるとは、心から光栄に思います。
【製本・その他】
紐スピンなど、全体的に「商業出版の本と並べても遜色のない仕様」にできないかと試行錯誤しておりました。緑陽社様内の特殊装丁紹介ページを読み漁ったり、印刷・用紙見本セットを取り寄せて実際の質感を肉眼で確かめるのはもちろん、書店へ赴き、商業出版の本がどのような造りになっているのか片っ端から確かめる日もありました。
楽しかった思い出の詰まっている記念の本ですので、それに相応しいデザインにできていたなら嬉しく思います。相談に応じ、望みを叶えてくださった緑陽社様に感謝いたします。
今回のご本はどのようなスケジュールで進められましたか?
特にイベントなどに出すものではなく、共に遊んだ方々の中でも希望者の方にのみお渡しする本だったのですが、仮にでも締切がなくては動きにくいだろう……と考え、「GODARCAを遊んでから2周年の時期」である2025年4月ごろを目指しました。
しかし実際には予算の再設定等でお渡しの時期が遅れてしまい、完成は2025年10月ごろと、半年近い延期になってしまいました。お待たせしてしまい非常に申し訳なかったです。制作にご協力頂いた方々には、常々感謝しております。
今回のご本のような装丁で同人誌を作ってみたい!とお考えの方に向けてメッセージをお願いします。
昨今はTRPGの世界も賑わいを見せており、今回私が制作を取りまとめさせて頂いたように、「遊んだ思い出をまとめたログ本を作りたい!」と思う方も多々いらっしゃるのではないかと思います。
まず本文のレイアウトをどのようにすれば見やすくなるか、適した編集ソフトは……という試行錯誤に数か月を費やしてしまったのですが、結果として、Adobe InDesignが非常に利便性が高く、一度慣れたあとは楽しく進めることができました。オススメです。
また、装丁に関して。緑陽社様のサイト内に掲載されている様々な実例紹介を見ながら実現可能なデザインを考案していったのですが、自動見積もり結果のみを参照していて、本見積もりを送るのが入稿予定日近い時期になってしまったため、実際の見積もり額と予算が合わず慌てたこともありました……。
予算と加工オプションのすり合わせ、細かなデータチェック等、緑陽社様にはたいへん丁寧にご相談に乗っていただけたため、これから本を制作する予定の方には、大まかにでも早めに仕様を決めて本見積もりを送り、余裕をもって相談を進めていくことをお勧めいたします。
最後にひとことお願いします!
「本フェチ大賞」特別賞のお話をいただき、驚きつつも大変光栄で、心から嬉しく感じております。
かねてより憧れを募らせながら歴代受賞作品のページを眺めておりましたので、感無量です。『GODARCA』という素敵なシナリオ、一緒にセッションを遊んでくださった皆様方、手厚くサポートしてくださった緑陽社さまのおかげでございます。
そして、本作もまた、どなた様かの本作りの参考になりましたら幸甚です。
まだまだ作りたい本の案がたくさんありますので、今後ともぜひ緑陽社様のもとお世話になりたく存じます。
今回は素敵な体験をさせていただき、本当にありがとうございました。
そして、末筆ではございますが、今回の本作りにあたりお世話になった皆様方に、改めて感謝申し上げます。
Staff Comment
近年オンラインセッションの普及により幅広い世代に人気を博しているクトゥルフ神話TRPG(CoC)。本作はそのセッションの記録をまとめたリプレイ本です。作中モチーフであるタロットカードをイメージしたカバーデザインは、本物の皮革のようなやわらかい質感が魅力の「レザック16 くろ」に印刷され、神話生物と対峙する探索者たちの箔押しが中央に光り輝き、荘厳な洋書のような仕立てに。
一転してカバー下の表紙はパールの輝きが美しいOKムーンカラー。さりげない加熱型押しで質感変化が加わっています。表紙をめくった見返しは深い赤みが美しいビオトープGAベリーレッドを使用し、ゴールド1色刷りで月桂樹の意匠を施し、物語の始まりに祝福を添えています。500Pを超える旅路にいつでも没頭できるよう付けられたえんじ色のスピン(紐しおり)も本書に風格を加えています。
本文中では探索者一人一人のイラストとプロフィールが収録され、作中の名場面には美麗な挿絵も添えられていて、シナリオの盛り上がりを引き立てています。
ご相談当初から、並々ならぬ装丁へのこだわりに、セッションを共にした探索者たちの濃密な記録を、持てる限りの装飾で形にしたいという強い意欲をひしひしと感じました。
一つの物語に集った仲間のために作られた本はまさに「同人誌」の極致といえるでしょう。
クトゥルフ神話TRPG(CoC)の発展を祈るとともに、こだわり抜いた装丁で旅の記憶を彩る「リプレイ本」にお力添えできる機会を、今後もお待ちしております。
▼ 第15回 受賞作品 ▼











