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アイディア賞
「初対面彼氏面男」
もずく様[アスパルテーム] イラスト:ふりかけ様

フィルムカバーの透明感と、インキの遮蔽性を活かした逸品!
ガラッと変わる物語の雰囲気を装丁によって体現したアイディアが光る力作

interview

もずく様に、今作品の誕生したきっかけや装丁の考え方、
発行までのスケジュールをお伺いします!

まずは、今回のご本を作るきっかけを教えてください。

この物語の構想を練っていた時から「キャラクターの目元を隠して、犯人みたいにした本を
作りたいなぁ」と考えていました。
初めはもっと違う手法で目元を隠す予定でしたが、本フェチ大賞第三回目の特別賞の透明カバー本を見て「こ、これだ〜〜〜!!!」と天啓を受けました。
透明カバーのお陰で、まさにイメージ通りの目隠れ犯人顔が出来上がったので大満足です。

とにかくこのキャラクターを犯人の如く扱いたかったので、裏表紙ではマグショットのように
怪しいプラカードを持たせました。
カバーを外すとプラカードの文字が変わる仕様です。

前半と後半で、雰囲気がガラリと変わる話なので、「カバーの有無」や「本の前半と後半」で
読者が受ける印象の変化を念頭に装丁を考えました。

使用された加工とその加工を選んだ理由があればおしえてください。

1、透明カバー
やっぱり一番のこだわりは、この特殊カバーです。
透明カバーを部分的に黒くすることで目元を隠し、
カバー有りの状態だと犯人のような怪しげな印象、
カバーを外すと隠されていた優しげな目元が現れる仕様です。
カバーの有無でガラリと表情を変える本にしてみました。

2、本文紙変え
前半は白い上質紙、後半はクリームの書籍用紙を用いて、
視覚から印象が変わる工夫を施しました。

3、表紙2-3印刷
表2-3印刷と遊び紙を用いて、本を開いた時には怪しくて怖い印象、
本を閉じる前は明るく優しい印象になるよう、デザインと紙を選びました。

今回のご本はどのようなスケジュールで進められましたか?

2月→本文完成、絵師さんに依頼

3月→表紙絵完成、カバーと表紙入稿

4月→本文校正終了、挿絵完成、本文入稿

2月に本文を全て完成していた所が後々かなり効いてきたように思います。

今回のご本のような装丁で同人誌を作ってみたい!とお考えの方に向けて
メッセージをお願いします。

装丁を盛っていると、よく「データ作りとか大変そう」と言われます。
この本で は表紙とカバー併せて5データ作ったので、正直大変ではありましたが、
いざやってみると楽しさで苦労も消し飛ぶので、苦には全く感じませんでした。
気合いと熱い思いがあれば大丈夫だと思います!

なお、特殊装丁(+早割)を使おうとすると、締め切りは大体2月前になるので、
皆さまお気をつけくださいませ。

最後にひとことお願いします!

初心者でも頑張れば装丁は盛れます!!!
こちらの本は私の人生2冊目の本で、データ作りも何もかも分からなかったのですが、
見ての通りなんとかなりました。

緑陽社様は、例え部数がそれほど多くなくても「こういう装丁の本を作りたいんです!!!」という熱意に本気で応えてくださる印刷所です。
その姿勢が本当に有難いですし、お陰で想像以上のクオリティの本が出せたと実感しています。

やりたい装丁があったら、思い切ってエイヤッてやってみると、すっごく楽しいですよ!!

これからも特盛装丁の道をガンガン突き進んでいきたいと思います!! 次は天金加工をやりたいです!!

最後に。適当に考えたハンドルネームとサークル名が緑陽社様のサイトに残ることを考えたら、今更ながら怖くなってきました。
今から同人始める予定の皆さま、ハンドルネームは後悔ないように決めましょう。

Staff Comment

透明フィルムカバーの一部を印刷で塗りつぶすことで、あえて表紙の絵柄を隠すギミックが施されています。
カバー・表紙それぞれのタイトルが異なるところも意味深で、表紙に添えられた「初」の字の金箔にドキッとします。

ストーリー前半と後半の雰囲気の違いを、本文の紙替えとして体現した点も素敵です。
側面から見ると、紙色の違いも楽しめます。
カバーの袖、扉ページなどに作品テーマに関連する言葉が繰り返し現れるのも、紙の本ならではの仕掛けです。

読むほどに、また見るほどに味わい深く新鮮で、何度でも開きたくなる魅力的な装丁です。

▼ 第11回 受賞作品 ▼


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