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ハイセンス賞
「Say,Cheese!」
野分様[もくもくもくようび]
【表紙】 | 用紙:ハイマッキンレーポスト 200kg+マットPP/ 印刷:4色フルカラー |
加工:トムソン加工(オリジナル型) | |
【本文】 | 用紙:ハイマッキンレーマット 135kg/印刷:4色フルカラー |
【製本】 | リング綴じ製本 |
Interview
野分様、今回のご本が生まれたきっかけは何でしょうか?
にじさんじの公式ストアではチェキ風カードのグッズが販売されているのですが、「コンビ」のものは展開されておらず、私が大好きな“血祭りブラザーズ”(通称:ちまブラ)の葛葉さんとイブラヒムさんのコンビのチェキ風イラストが見たいと思ったことがきっかけです。
また、ちまブラを色んなクリエイターさんがどのように描くのか見てみたいという思いもあり、アンソロジーとして企画しました。おふたりの魅力や関係性を、それぞれの作家さんの視点で切り取っていただくことで、多くの方に楽しんでいただける、特別な一冊を目指しました。
使用された紙・加工と、特にこだわりを持った部分があれば教えてください。
本作は『チェキ』というテーマを軸に、細部までこだわりを持って制作しました。
デザインを模索していた際、表紙イラストをご担当いただいた青野ユウさんから「トイカメラ風にしてはどうか」というご提案をいただき、その発想から「カメラの液晶部分をくり抜く」というアイディアが生まれ、初めてのトムソン加工に挑戦することにしました。
さらに、チェキ風イラストを隅々まで楽しんでいただけるよう、ページがしっかり開くリング綴じを採用しました。緑陽社のご担当者さまより「くり抜いた部分が細いため、ページをめくる際に力がかかると折れやすくなります」と注意点もいただきましたが、リング綴じであればそのリスクを軽減できると考え、結果としてトムソン加工×リング綴じという非常に相性の良い組み合わせにたどり着けたと思っています。
今回のご本はどのようなスケジュールで進められましたか?
• 2023年10月:企画構想スタート
• 2023年12月:執筆者へのご依頼・初回見積もり(この時点では別デザイン)
• 2024年5月:現在の装丁案が確定し再見積もり・表紙入稿
• 2024年6月:本文入稿
• 2024年7月:完成!
加工については複数案を提出し、予算や納期を踏まえて最終的な装丁を決定しました。緑陽社のご担当者さまと何度もやり取りを重ね、加工によるリスクや注意点なども丁寧にご説明いただけたので、非常に安心して制作を進めることができました。まさに「一緒に作り上げている」という実感のある、楽しい制作期間でした!
今回のご本のような装丁で同人誌を作ってみたい!とお考えの方に向けてメッセージをお願いします。
カメラの液晶部分をトムソン加工で表現するという挑戦には、当初さまざまな不安がありました。細かなシール風タイトルのデザインがどこまで再現できるのか、鋭角な箇所の加工は可能なのか……と疑問が尽きませんでした。
しかし、見積もりの段階で概略データを印刷所に提出したところ、実際に提出したデータでトムソン加工を行ったサンプル写真をお送りいただき、大きな安心感を得ることができました。正直、シール枠部分の印刷には多少のズレを覚悟していたのですが、完成品の仕上がりは想像以上に精度が高く、大変感動しました。
トムソン加工は、想像以上に自由度が高く、イメージ通りの表現が実現できます。特殊な装丁に挑戦してみたい方には、ぜひ思い切ってチャレンジしていただきたいです!
最後にひとことお願いします!
ちまブラのイブラヒムさんが、デビュー3周年記念で制作されたオリジナルアニメーションのメモリアルブックを手がけられた印刷所が緑陽社さんでした。推しの作品と同じ印刷所で自分が本を制作できるという特別な経験に、制作期間中ずっとワクワクが止まりませんでした。(※メモリアルブックの制作工程を取り上げている動画も、箔押し作業が細かく紹介されていて、とても興味深く面白い内容なので是非見ていただきたいです!)
そして完成した本が、自分の思い描いた通りの仕上がりとなっただけでなく、「ハイセンス賞」という素晴らしい賞までいただけて感無量です。素敵な体験をさせていただき、本当にありがとうございました!
Staff Comment
全ページフルカラーのおしゃれでポップな雰囲気、リング綴じ&トムソンという斬新な製本により、ページをめくるたびにまるで写真集を手にしているかのような高揚感が味わえます。さらに、トムソン加工で仕上げたカメラの液晶を思わせるフォルムが、手に取った瞬間から「特別な一冊」であることを強く印象付けてくれます。表紙に散りばめられたステッカー風のデザイン、本文中のチェキ風カードのデザインも作り込まれており、細部まで見どころ満載です。
作家様のこだわりが随所に感じられ、ライバーさんと冊子の世界観をより深く楽しんでいただける仕上がりとなっています。
トムソン加工にチャレンジしてみたい方、“自分らしい本”を形にしたい方、表現の幅を広げたい方にぜひご覧いただきたい一冊です。素晴らしい作品をお寄せくださった作家様に心より感謝申し上げます。
▼ 第14回 受賞作品 ▼
