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表紙デザイン賞
「Le Noir et le Rouge」
繭様[もちぺい]
【表紙】 | 用紙:NTラシャ 漆黒 170kg/印刷:1色刷り(ゴールド赤口) |
加工:高精細箔2種押し(ピンクゴールド、レッド) | |
【口絵】 | マットコート 110kg/印刷:4色フルカラー |
【本文】 | 用紙:コミックルンバ クリーム 84kg/印刷:スミ刷り |
【製本】 | 無線とじ |
Interview
繭様、今回のご本が生まれたきっかけは何でしょうか?
アンソロジーを作ろうと思い立ち、どうせなら装丁も豪華に、夢だった高精細箔の2種押しに挑戦してみようと決めて作り始めました。
使用された紙・加工と、特にこだわりを持った部分があれば教えてください。
まず黒と赤がイメージカラーのキャラクターが登場する本だったので、その2色を使うことを決めました。イメージに近い作例をネットで探したり、本屋さんで面白い装丁の本を探し実際に触ってみたりしながら雰囲気を考え、自分の作りたいデザインの方向性を決めていきました。
検討を重ねた結果、金・赤・黒という配色が気に入り、マットな特殊紙(NTラシャ漆黒170kg)に金(ピンクゴールド箔)、赤(レッド箔)でキャラモチーフを表現しましたが、箔で再現可能な細かさに調整するのが大変でしたね。この線の細かさは再現可能かなど、都度担当者さんに相談させていただいていました。
今回のご本はどのようなスケジュールで進められましたか?
入稿自体は6月でしたが、3月頃から構想を練り始め、4月には予約を入れました。
今回のご本のような装丁で同人誌を作ってみたい!とお考えの方に向けてメッセージをお願いします。
装丁を凝るのは大変ですが、自分がほれぼれする本を作ることができるのはとても楽しいですよね。たくさんの素敵な装丁を見て、こんなふうにしたいと憧れのイメージを固めていくのもいいと思います。これはどうなんだ?できるのかな?となったら印刷所さんに相談すればプロの方が丁寧に教えてくださいますよ!
最後にひとことお願いします!
箔押し&特殊紙最高!紙の本でこそ輝く装丁の魅力を少しでも伝えられたら幸せです。
同人誌の装丁は、デザイン素人であるからこそ技術にとらわれず、自分ですべて決められる、楽しめる醍醐味があると思います。「できない」も是非楽しんでください。
Staff Comment
キャラクターのイニシャルをワイングラスに見立てる遊び心と、鮮烈な赤×ピンクゴールド箔の組み合わせがおしゃれな一冊です。「NTラシャ 漆黒」が箔の光を際立たせ、マットな紙質と箔の光沢のコントラストが美しく惚れ惚れします。表紙デザインについては事前にご相談をいただきました。細かすぎると潰れやすい箔押しの特性を踏まえ、細部まで意匠を凝らしながらも、箔押しで再現可能なバランスに仕上げられている点が秀逸です。巻末には表紙の原案も掲載されており、完成デザインに至るまでの作者様の奮闘が垣間見えるのも読者にとって嬉しい魅力です。
表紙にあしらわれた花や天秤のモチーフは口絵、扉ページ、アンソロジー参加者様のコメントページなどにも使用されており、デザインの一貫性が感じられるのも、本好きにはたまりません。
装丁へのこだわり、デザインの完成度から、アンソロジーに対する作者様の熱意がうかがえます。是非手に取って特殊紙の質感、箔の輝きを堪能いただきたい逸品です。
▼ 第14回 受賞作品 ▼
